国語

本校の国語教育がめざすもの

皆さんは、何のために国語を学ぶのでしょうか。「読み・書き・そろばん」という言葉が示すように、国語はこの人間社会で生きていくために重要な科目であるということは誰もが知っていながらも、なぜ学ぶのか、どのように学ぶのか、といったことは漠然としているのではないでしょうか。
本校では、国語という科目は、「ことば(言語)のはたらきを学ぶことを通して、人間として今いるこの世界(現実)をみつめ(認識し)て、自分自身がいきいきと人生を生きる力を身につけていく」科目であるととらえています。ことば(言語)は、ただ単に物事やメッセージを伝え合うだけの道具ではありません。ことばは、他人の心のひだや、自分のもやもやした気持ちに形を与え、自分自身に確からしさを確認させてくれる大切なものです。ことばがあるからこそ、自分の心も見えるし、抽象的な思考も可能になるのです。このような観点から、本校では「ことばの力」を「生きる力」ととらえ、母語である「日本語」の基本をしっかり身につけてもらうと同時に、豊かな感性と、現実社会をしっかりと認識できる力を身につけてほしいと考えています。

カリキュラムの特徴

発達段階に応じた読む力、書く力の修得に重点を置きます。中1、中2:多読→中3、高1:多読→高2:精読→高3:精読の流れをイメージしながら読書指導に力を入れ、中1、中2では、「ちくまプリマー新書」から「岩波ジュニア新書」レベルの本が抵抗無く読めるよう、また、中3、高1では、「岩波新書」や「講談社現代新書」、そして最終的な出口としては「中公新書」や学術論文のレベルが読みこなせるような読書力を養います。また、書く力としては、見やすいノートのまとめ方から始まり、段階を踏んで、原稿用紙の使い方、レポートの書き方、原稿用紙5枚を書く能力、そして最終的な出口としては、様々な参考文献を引用しながら、原稿用紙10枚を、構成立てて書ける文章力を養います。また、古典分野においても、高2段階までには、大学受験レベルに必要な古典知識は身につけ、高3段階では、大学のゼミ研究に堪えうるような古典研究が行えるレベルの授業を、必修選択授業などで数多く設けています。

中学1年生、中学2年生

幅広く多種多様な日本語(小説、説明文、詩、短歌、俳句、古文、漢文も含む)に触れる機会を数多く持ちます。そのため、週5時間の授業を現代文と古典というようなジャンル分けはせず、便宜的に読解(3)と表現(2)というジャンル分けにし、読解分野では、文章の要約、段落構成の把握、接続詞による論理展開、指示語の指示内容などを正確に読み取る基礎的な訓練を行います。さらには、文章が書かれた背景や、時事的な社会問題について考え、自分自身の考え方や社会や世間のあり方についても考えていきます。中1段階では、特に辞書をこまめに引く習慣を身につけ、その言葉の使われ方や、その言葉から派生する意味の広がりを奥深く調べていくようにします。
また、表現分野では、朗読、暗誦から書き言葉による表現まで、多彩な表現力を身につけます。「書く」ということについては、毛筆からペン習字までの書写の技法、そして見やすいノートのまとめ方から原稿用紙の使い方まで、基本的な文章表現の技術を身につけます。漢字検定4級、3級、日本語文章能力検定5級、4級レベルの能力をつけてもらうようにします。

中学3年生、高校1年生

中1、中2の基礎学習期間を通じて得た技術や方法を駆使しながら、論理的、客観的に物事を見つめる力、そこに自身の主観を投影できる力を養成します。
さらに抽象的な概念を操作し、具体例を用いて表現することができるようにします。さらに授業を現代文と古典に分け、古典は中3で週1時間、高1で週2時間の割合で勉強し、古文漢文を読み解く上で最低限必要な知識を身につけます。漢字検定2級、日本語文章能力検定3級レベルの能力をつけてもらうようにします。

高校2年生

高校2年生では現代文が3時間、古典が2時間の割合で勉強します。現代文は、主に論理構成がしっかりした評論文を精読していきます。大学受験に必要な思想用語やキーワードなどはこの段階でしっかりと押さえた上で、高3の出口に向けた「原稿用紙10枚を書ける文章力」を養うためのトレーニングを行います。まずは序論、本論、結論などの形式に則った形で原稿用紙5枚を書ける力を養います。古典は、古文漢文ともに多様なジャンルの作品を読み込み、複眼的な視座を養成します。大学受験レベルに必要な文法事項は全てこの段階でマスターし、自力で古文漢文が解釈できるようにします。

高校3年生

高校3年生では、現代文・古典とも2時間の配当になります。これまで学習してきた内容の核となる部分を学習し、その発展的な部分は選択講座で伸ばすことを基本とします。現代文では、古今東西を問わず「名文」と呼ばれるようなハイレベルな作品(岩波文庫の文学分野をイメージ)や、学術論文のように構成や論理展開がしっかりした、ハイレベルな文章を読んでいきます。そうした「名文」や論文で文章作法を検証しながら、最終的には、「卒業論文」として原稿用紙10枚を書ける文章力を養います。連休や長期休暇ごとに構想メモや下書き構成などの課題を設け、中間発表の場などを設けながら基礎作業を進めていきます。古典では『源氏物語』を中心に、高校古典学習の総まとめを行います。
これらの作業の発展形式として、日本語表現から古典、近現代、哲学、思想に至るまでの幅広い選択講座を多く設け、大学進学の際にどの学部に進んだとしても対応できるようなゼミ形式の講座を設置しています。

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