芸術
本校の芸術(美術・音楽)教育がめざすもの
本校の美術
美術の創造活動を通して、美的体験を豊かにし、表現と鑑賞の能力を伸ばすとともに、美術を愛好する心情を養っていきます。年間を通して基礎的な「モノの見方・見え方」を学習しながら、より専門的な素材を扱い作品制作を行います。絵を描くだけではなく、工芸的要素も授業内容に組み込んでいます。自分で作ったものを普段の日常生活で実際に使用することにより、「実技」だけでは味わえない喜びを得る事ができます。
カリキュラムの特徴
先ずは、道具や素材に慣れることから始めます。特に、道具に関しては怪我の原因になることも考えられるので、正しい使い方をしっかりレクチャーしながら作品制作に取りかかります。扱う素材は、ガラス・皮・陶・木材など、私たちが日常的によく目にしたり、触れたりしている身近な素材です。それらの素材を加工し作品を制作する体験学習です。そして、この基礎的な体験学習を通して、ただ作るのではなく、自分がどうしたいのか?ということを考えながら制作を進めて行き、計画を立てる能力や、自己表現力などを身に付けます。カリキュラムの中には「デッサン」が組み込まれています。これは、見ている対象物をそのまま描き写すだけが目的ではなく、どうすれば立方体を立方体として真っ平らな画用紙に表現できるのかという考え方や、感じ方、空間認識力を養うためです。また、それぞれの素材や作品についての歴史も学びます。同じ素材を使った作品でも文化や技法が異なれば様々な表現方法が生れていることを学び、自らの表現に結び付けることができるようにします。
基礎段階で扱った素材をより深く理解し、造形の要素には、形、色、素材などのあることを、作品制作を通して体験的に理解し、それらに対する感覚を育んで行きます。そして、それらの秩序の中で、自分自身の考え、気持ち、思いなどをより個性豊かにデザインに投影し、具現化できる能力を養います。そのためには日常生活の中で、日頃から素材やそのデザインなどにも興味や探究心を持ち続けている必要があり、それが個々の観察力を身に付けることにも繋がります。また、実際に自ら使用する事を目的とした作品制作を体験することで、自分自身がどのような形態や色に興味をもち、そのためにはどのような資料が必要なのかといった、自己を認識することができ、新しい自分を発見する事ができます。制作は個人で行いますが、積極的に周りの友人達とのお互いの作品に関する意見交換や、自分の考えを自分の言葉で伝えるように指導します。お互いを尊敬し合い、認め合うことによって、1人では困難な作業も自然と協力する態度が身に付きます。デッサンでは、基礎段階で身に付けた正確な形の取り方や、空間の出し方を踏まえ、対象そのものをただ正確に描き写すだけではなく、対象の雰囲気や色、匂いなどを、自分が対象から受けた印象がそのデッサンを見る人に伝わるように意識して描くようにします。
芸術カリキュラム
1学期 | 2学期 | 3学期 | |
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中1 | デッサンⅠ | 陶板スクラッチ | デッサンⅡ |
幾何形態・立法体形・ グラデーション |
デザインの要点 技術の理解と実習 |
組みモチーフ 明暗・質感 |
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中2 | 真鍮キーホルダー | 皮革コースター | デッサン |
デザインの要点 製作工程の理解と実習 |
デザインの要点 製作工程の理解と実習 |
果物模型組合せ 画材の工夫と表現技法 空気遠近法の理解と実習 |
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中3 | 銅板レリーフ作り | 卒業記念品製作 | |
金属工芸の歴史と知識 製作工程の理解と実習 |
製作過程の理解と実習 |
本校の音楽
「芸術を理解し、愛好する」という教育理念に基づき、芸術教育としての授業を行います。実技、理論、音楽史の三分野を通じて、音楽の素晴らしさを味わい、分析し、知識を高め、文化の伝統や歴史、そしてこれからの動向なども研究できるようにしていきます。
「実技」
各学年で発達段階に沿った形での実技を行っていきます。歌唱は必ず行い、必要に応じてリコーダー、ギター、ドラムなどを使って合奏形式の演奏も、適宜行っていきます。
「理論」
実技で取り上げた曲目の楽譜の構成や、技法などを研究し、楽譜に対して、より身近な感覚で接することが出来るようにします。簡単な楽典はもちろんコードネームなどの理論も学び、簡単な作曲が自分で出来るように展開します。
「音楽史」
単なる「鑑賞」にするのではなく、曲の成り立ち・背景などを学び「一歩踏み込んだ鑑賞」を行います。モーツァルトやベートーヴェンといった大作曲家では、名曲の影にドラマチックな「何か」が隠されています。その「何か」を自分なりに研究してみます。
カリキュラムの特徴
中学1年生、中学2年生
小学校で学んだ音楽授業を振り返り、しっかりと共通理解をします。そして「中学の音楽とは何か?」を考えます。小学校とは身体も成長し、知識も増えると、きっと音楽の可能性も広がります。ここで出来る音楽の素晴らしさをまず最初にイメージすることから始めます。そして次にいよいよ「実技」に入ります。まずは「校歌」を歌い、仲間意識を持ちます。しかしこの時期には歌うことへの様々な障害があります。男子の変声などがあります。よって無理をせずに歌で難しいところを楽器を使ってやっていきます。きっと肩の力の抜けた、自然な演奏が出来るでしょう。まずはしっかりと「音楽に正直にまっすぐ向き合うこと」を心がけさせます。音符・楽譜・音楽記号についてはわかりづらいことが多いので、理論に偏らないようにバランス良く、実技とリンクをさせる形で学んでいきます。
中学3年生、高校1年生
この年代になると音楽に関する吸収は、学校だけではなく、テレビやラジオ、そして様々なところから自分で自然に求めるようになります。例えば自然に好きなミュージシャンが出来ます。そこから時にはそういう歌謡曲やポピュラーを取り入れることも行います。そしてギターを使って、今までとは違う演奏を目指します。例えば歌やリコーダーは、いわゆる「メロディー演奏」でしたが、これからは自分で伴奏(コード)を弾いて、それにあわせて歌うことも出来るわけです。高1では、芸術を選択制にして、より「音楽」に対して興味・探求心を持つ生徒と共に授業を行い、時にはグループを組み、バンドを結成します。自分だけの音楽ではないわけです。共に音楽を創造する上での仲間への責任感も学べるわけです。一方で「音楽史」もしっかり学びます。この世にこれだけの音があるのは、数々の偉大なる作曲家を無視するわけにはいけません。時代ごとにしっかりと名曲を「心で聴き」、レポートなどを作成し、しっかりと自身の心と結びつけられるようにします。